
在中日系企業の “ 第二人事部 ” 目指す
創業10年のコンサルティング会社
コチコンサルティングは日系企業に対して中国の人事・労務関係に特化したコンサルティングサービスを提供している。同分野で約25年のキャリアを持つ創業者の畑伴子総経理に“第二人事部”とも呼ばれる同社のサービスや、中国の人事部の現在と将来について伺った。
ー貴社のサービスについてご紹介ください。
日系企業を対象として、中国における人事・労務全般に関するご相談をお受けし、それに対するソリューションを提供しております。お客様のご相談は多岐に渡ります。人事制度全体の構築やその後の運用面のフォローアップといった、戦略人事的なコンサルタントサービスを提供する一方、給与管理・勤怠管理・就業規則の見直しや労務問題の解決など労務コンサルタントサービスもご提供しています。いわば、人事・労務面に特化した、在中日系企業の“第二人事部”を目指しております。
弊社の会員サービスでは、各種の情報提供の他、会員企業に対して、人事・労務に関する質問に対し、各社の就業規則、事業環境に対応した回答をE-mail・チャット・面談で提供するQ&Aサービスを行っております。2012年の創業以来、誠実なサービスをモットーに、一つずつ積み重ねてまいりましたが、お陰様で現在約190社の会員企業が弊社サービスを定期利用いただいております。そのほか、プロジェクトベースでのコンサルサービスではこれまで880件ほどの案件に対してソリューションを提供してきました。
ーこれまでの経験から、日系企業経営者に伝えたいことは。
中国において、人事は経営面でますます重要な位置付けになっています。経済成長鈍化に対応する人件費分配の効率化、拡大した企業グループ単位での人材活用・開発、長期間積み重ねられてきた不正への対応、劇的に財力や技術力を伸ばした民営企業との人材獲得競争への対処、事業環境変化に応じた時期を見誤らない事業再編に関わる人事業務など、中国事業の維持・拡大に重大な意思決定を要する事項が多々あります。人事部を財務や総務と兼務させるのではなく、専門家を配置し、人事労務に関わる様々な懸案を解決できる戦略的な業務を推進できる人事部を作る必要があると思います。
中国人の働くモチベーションも大きく変わってきています。従来は「お金がすべて」という傾向があり、少しでも給与の高い会社へと移動していました。近年は、自分のキャリアアップに役立つ職場か、職場環境が整っているか、労働強度が強すぎないか、個人の時間が持てるかなどの多様化したモチベーション要因への対応が必要となっています。人事部は、こうした中国人の意識変化に柔軟な対応が迫られています。中国事業のビジョンの明確化、ビジョンに基づいた人材戦略の推進が、競争力ある中国ビジネス確立に貢献すると考えています。
ー今までの経歴をご紹介ください。
大学卒業後、日本航空にフライトアテンダントとして入社し、その後パーサーの任も担いました。1994年に夫の上海赴任を機に同社を退職し上海に居住しはじめました。その後人材仲介会社のパソナ上海の立ち上げに参画。総経理として上海現地法人を軌道にのせることができました。2000年、日本に帰国後、国際間の人材紹介専業のパソナグローバルを立ち上げ、代表社長に就任。中国人事関係のキャリアを積み重ねて参りました。
08年、パソナを退職後に株式会社コチコンサルティングを日本で創立。12年には上海現地法人を設立し、中国での人事コンサルビジネスを本格的にスタートさせました。
お陰様で順調に成長を遂げ、社員も45人に。平均年齢30歳代の若い社員が多く、活気のある会社です。最近、人材研修分野で26年の経験がある中国企業と提携し、長年、日系企業の課題とされてきた“経営幹部の現地化”支援にも着手しています。日系企業の中国ビジネスを人事・労務面からサポートするという仕事にとてもやりがいを感じています。
ー顧客からの相談に変化は?
中国ビジネスの発展とともに事業再編を行い、営業専門会社を作りグループ会社の営業機能をまとめるといったケースも増えております。それに伴い配置転換される多くの人材の労働契約内容を一気に変更することが必要となります。リモートワークを実施するための、在宅勤務マニュアルの作成依頼なども新たな業務です。さらに、地域的には江蘇省や中国東北部からの依頼も増加中です。コロナ禍を経て、リモートでのコンサルティングが受け入れられるようになったことは追い風です。ただし、現場に足を運ばないと見えてこないこともあるため、現場訪問も怠らないよう心掛けています。人事・労務問題に関する定期オンラインセミナーについても、参加者の増加および、参加地域も広がりを見せています。
ー読者の皆様にメッセージをお願いします。
本年、経団連が、企業にとって人事システム(人事制度、人材開発など)は重要な経営インフラであるとの認識を示しました。人事システムこそ企業の成長、発展を決めるという認識が、まだない日系企業も多くあります。
この分野での25年の経験を元に、在中日系企業の“第二人事部”の位置付けとなれるよう、そして人事を通して、より力強い経営支援ができるよう誠心誠意努めて参ります。
社員からのメッセージ

■資深諮詢経理 趙蓓俊さん
2012年の春、コチに入社しました。会員1社目、2社目から、現在に至るまで150社以上の日系企業に人事サービスを提供してきました。お客様の人 事労務面の問題を解決することができ、非常に達成感があり、光栄に感じました。コチは企業の“第二人事部”として、お客様へ常に感謝の心を持ち、お客様の会社の継続的、安定したご発展のために全力を尽くしてまいります。
■総監 黄寧さん
日系企業の“第二人事部”を掲げてから、今年で10 周年を迎えました。引き続きお客様よりご愛顧いただき、より多くのコチのファンを集めて、多様な商品、 品質の高いデリバリーを提供できるよう、改善活動に取り組んでいます。お客様の事業成功の力になれることを誇りに思っています。コチでの楽しく有意義な日々を心から大切にしています。
■高級経理 梁金玉さん
2016年にコチに入社して以来、会員企業へのコンサルティングや人事労務管理改善及び人事制度設計のプロジェクトを60社以上支援いたしました。コンサルティングを通じて、企業の課題を解決でき、非常にやりがいを感じています。弊社の事業発展に伴い、より多くの企業に人事管理改善の総合的なソリューションをご提供できればと考えております。微力ながらお客様の事業成功のために、ご支援させていただきます。
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