不動産仲介・コンサル会社が新サービス
工場・事務所の食堂管理運営+α
江蘇省蘇州市にて、住宅から商業不動産(オフィス・工場・倉庫・店舗)までの賃貸物件仲介サービスを約20年間の長きにわたり提供するアーバンリアルティー・リミテッドは、一昨年より工場・事務所の食堂管理運営サービスや中国富裕層向けの日本進出コンサルサービスをスタートした。同社の平敷興一董事長・総経理に、これまでの同社の歩みと今後のビジネス展開についてお話しを伺った。

へしき・こういち●1972年生まれ、沖縄県出身。1994年から96年まで上海大学文学院に学ぶ。97年CBリチャードエリス東京にてオフィスビルの賃貸仲介サービスに従事。2000年、六本木森ビルにて外資系企業への賃貸不動産のリーシング業務を行う。2006年江蘇省蘇州市にて日系企業駐在員向けの賃貸住宅仲介サービスをスタート。2009年アーバンリアルティー・リミテッド(蘇州愛邦諮詢有限公司)を設立。駐在員の賃貸住宅仲介サービス並びに日系企業向けの商業用不動産(オフィス・工場・倉庫・店舗)の賃貸仲介サービスを含む総合不動産コンサルサービスを展開。2024年工場・オフィスの食堂運営管理サービスや中国人富裕層の沖縄への視察ツアー旅行、ビジネス進出サポートサービスをスタート
ーご自身のキャリア並びに中国との関係についてお伺いします。
私の中国とのつながりは、1994年から2年間、上海大学文学院に留学したことに始まります。沖縄出身で海外志向も強く、中国の将来の発展の可能性に魅かれ、この地を選びました。卒業後の97年に東京にて不動産会社に就職し、外資系企業に対するオフィス賃貸の営業の仕事をしました。外資系不動産会社と日系大手不動産会社の2社で働きましたが、その経験は私のその後のキャリアに対して大きな影響を与えてくれました。2005年に、江蘇省蘇州市にて不動産仲介会社立ち上げの話をいただいたことをきっかけとして、中国に戻ってきました。それから約20年間、日系企業をメインとした不動産に関係する様々な仲介、コンサルサービスを蘇州市にて提供してまいりました。09年には、自分の経営方針に基づいた会社を運営したい想いから、自ら会社を設立し、オーナーとして経営者として第一線で働き続けてきました。
蘇州で不動産仲介の仕事をスタートして約20年が経過しました。長年の経験を生かし、日系企業に対してワンストップ総合不動産仲介サービスを引き続きご提供しております。日本人駐在員向け賃貸マンション仲介サービスのほか、日系企業に対して商業用不動産(オフィス、工場、倉庫、店舗など)の賃貸仲介も行っております。これまで様々な日系企業(電子、機械、部品、食品、運輸、倉庫、小売業など)に対して商業不動産賃貸を仲介してきましたので、業種ごとに求められる工場・倉庫の物件スペックに対しての専門的知識も蓄積してきました。例えば、業種により求められる電力容量、天井の高さ、フロア数は異なりますし、食堂併設の場合は、消防、衛生、環境基準も変わります。もちろん関係する政府部門も多岐にわたり、開発誘致の部局のほか、建築、環境、消防、衛生などの各部門とのネットワークも大切になってきます。お陰様で様々な実績を積んだことから、顧客が要望する賃貸物件をより的確に提供でき、政府関連部門との橋渡し役も果たせています。
一一昨年より新しいサービス分野に進出されたとお伺いしましたが。
弊社は一昨年より多角化経営の一貫として、工場や事務所などにおける食堂管理運営並びに食事提供のサービスをスタートしました。現在、江蘇省で5社そして、浙江省で2社、合計で7社から受託をしております。工場や事務所の食堂管理運営受託においては、食堂の設立から行う場合も、既存の食堂を利用しながら設備機材を補強する形で行う場合もあります。
昨年南京市において、4社コンペの結果、日系メーカーの食堂管理運営業務を弊社が受託しました。メニューの工夫、衛生、装備面、経済性の観点を総合評価していただき受注に成功しました。働く社員の皆様の満足度を上げるためにメニューに様々な工夫をしてきましたが、例えば、ふっくらしたお米を提供することや、おいしい麺を提供することにこだわりました。お米は圧力鍋でたき、裏返しをしてふっくらとしたお米が食べられるようにしましたし、麺ブースを作り、お醤油薄味ベースの「湯麺」(汁あり麺)、しゃきしゃき感のある「炒麺」(炒め麺)、カレーうどん、夏限定の冷麺などを提供できるようにしました。食事については、デイリーユース食「Aプラン」(18元)、主に日本人駐在員が利用する日本食「Bプラン」(40元~)、来賓や役員のためのVIP食「Cプラン」(80元~)をご用意しておりますが、デイリーユース食については、飽きが来ないように、社員の皆様がお好きなメニューを選択していく方式になっています。お蔭様で評判もよく、余ることも少なくなり、「外買」(デリバリー)利用者が激減したとお伺いしております。
①南京市の工場の食堂。その日のメニューが一目で分かる
こちらの工場では、カフェショップも併設しましたが、カフェに加えて、軽食(パン、サンドイッチ、ポテトフライ、ロールケーキ、スイーツ)も提供しております。事務棟、研究室も併設されており、営業・人事・総務・財務などの部門もございますので、会議の折にはコーヒーやケーキのデリバリーをしています。出席者の議論が活発になり、会議の成果のアップにつながっていると思います(笑)。朝食にも対応していますので、駐在員のかたは、こちらで饅頭やパンを軽く食べてオフィスに向われる方も多くいらっしゃいます。
さらに、こちらの食堂を利用して各種の社内パーティー(誕生会、表彰式、部署内パーティー、忘・新年会)も実施しております。パーティー用食事メニューの提供、スピーカー・プロジェクター・円卓・赤じゅうたん・ステージの設営など弊社でご提供しております。数百人規模までの宴会にも対応できますので、ホテルや外部レストランを利用するよりもコスト的にも大変節約が図れるということで、会社側の満足度も上がっていると聞いています。また、社員の家族の皆様に工場見学をしていただく「家族感謝デー」を開催しておりますが、その際の食事提供(子供メニューと大人メニュをそれぞれご用意)と団欒の場として食堂も利用しています。このように食堂・カフェを多目的に利用することで、利便性を高め・コスト削減を果たすという新しい価値を生み出しております。
ー富裕層向け日本インバウンドツアーサービスもスタートしたようですね。
昨年4回ほど、中国人富裕層向けの沖縄インバウンドツアーを組みました。私自身がツアーをアレンジして添乗員を行いました。故郷の沖縄を思う気持ちが強くなってきましたので、出身の沖縄県とビジネスキャリアを育んでくれた蘇州市や江蘇省を繋げる仕事をしたいと思っています。中国人富裕層は、日本にビジネス進出したいとか、そのために日本に不動産を購入したいとか、子供を日本のインターナショナルスクールに留学させたいとか、様々なニーズを持っております。ですので少し費用が掛かっても、視察を兼ねたテーラーメードの旅行を企画しております。沖縄のビジネス振興局や沖縄のインターナショナルスクールを訪問したりしましたが、参加者の皆様に大変満足していただいております。また、参加者の一人は沖縄の観光メインストリートでショップをオープンする可能性を探っておられますが、今後こういった日本に進出していかれたい中国人のサポートも積極的にしていきたいと思います。
沖縄インバウンドツアーで訪問したインターナショナルスクール
20年間積み上げてきました信頼とネットワークをベースとして、不動産仲介にプラスアルファをしながら新しい付加価値をうみだすことで、日中両方の社会貢献をしていきたいと考えております。工場・オフィス食堂のリニューアルや活性化、日本特に沖縄への視察旅行、進出・移転・撤退・引越などを検討し始めたら、いつでもお気軽に御相談くださいませ。
故郷の沖縄に生活の拠点を移し、これまで培ってきた中国人人脈を生かしながら、双方がウィンウィンになるサービスを、生活を楽しみながら元気がある限り提供するのが私の夢ですね。
[蘇州アーバンリアルティー]
住所:蘇州市新区鄧尉路9号潤捷広場407室
電話:0512-6818-7150
FAX:0512-6818-7151
URL:heshiki@urbansz.cn

※インタビュー及び提供資料に基づく情報はすべて取材対象者に由来しており、本誌がこれらの情報の正確性と完全性について、保証するものではありません。
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