空港ターミナルの清掃は「簡単な仕事」だろうか。多くの人は「床をはいて磨くだけ」と思うかもしれない。だが、清掃で「世界一」に輝くのは並大抵のことではない。上海市の虹橋空港は国際空港評議会(ACI)による「清潔な空港ランキング」で15 年度第7-9月期に世界1位、通年でも3位を獲得。労働節の連休で混雑する空港にて“世界一の秘密”を東方網の記者が探った。
空港第2ターミナル内には、面積200㎡の「清掃トレーニングルーム」がある。国内の空港で唯一とされる、実物大の設備を使った清掃訓練施設だ。床はタイル、樹脂など様々な材質でできており、実物大の洗面所や動く歩道、エスカレーターなど空港内の設備一式がしつらえてある。
清掃スタッフを統括する空港職員の馬勤英さんによると、新人はまずこのトレーニングルームで3日間の実習を受けるほか、ベテランも基本を忘れないよう、3カ月に一度トレーニングを受けている。講師はここで実演を交えて、清掃作業の手順を新人に説明。例えば、樹脂製の床材はまずワックスをかけ、その後にぬるま湯で磨くといった、清掃の秘訣を伝授する。これまで、のべ3000人以上の清掃スタッフがここでトレーニングを受けてきた。
用具にも工夫がある。「青いダスターは椅子用、白は冷水器、黄色は洗面台、赤は便器用」と説明してくれたのは、ターミナル北45番ゲートの清掃を担当する張秀娣さん。常に何色かのダスターを持ち歩き、業務にあたっている。
虹橋空港の年間利用者数は約4000万人、清掃面積は計36万㎡で、サッカースタジアム50 個分にも及ぶ。「トイレだけでも洗面台が544カ所、便器が1034 個もある。スタッフの仕事がどれだけ多いか分かるでしょう」とは、前出の馬さん。馬さんは1日4 時間以上をかけ、空港内の清掃状況をチェック。床を見てその上を歩くだけで作業中どこの工程に問題があるのか分かるという。
重視しているのは具体的な数字をスタッフに示すこと。たとえば、ごみ箱の中身は容量の半分を超える前に空にする。トイレでは液体せっけんを残りが3分の1以下になる前に補充するなど。こうした改善の積み重ねで高水準の清潔さを保っている。
ちなみに、清掃スタッフは総勢500人超、6人1チームで動いているが、ほぼ全員が外部の清掃会社3 社の社員で、空港の職員ではないそうだ。
【東方網 5月2日転載】



