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NTTデータは9月11日、貴陽市政府および中国科学院ソフトウェア研究所(ISCAS)と共同で、貴陽市にビッグデータ先進技術研究院を設立した、と発表した。渋滞の発生抑止、大気環境のリアルタイム計測・予測など、IoTを活用した取り組みを推し進める。
三者は16年から貴陽市でスマート交通の共同研究をおこなっており、その成果を踏まえて連携や技術開発を強化するため、研究機関を設立した。貴陽市はビッグデータやIoT関連技術の利用環境および実証フィールドを、ISCASは高性能なコンピューティング環境やソフトウェア技術人材、オフィス環境などを、NTTデータはIT技術を提供する。スタート時の構成人数は20人前後で、年間研究予算は1000万元。
貴陽市は人口約600万人で、2020年には1000万人に達すると予測されており、中国国内でも有数の経済成長率を誇るとともに、環境系IoTの広範な利用を促す5カ年計画を策定するなど、ビッグデータやIoTの利用拡大に取り組んでいる。
ISCASは国務院直属の研究機関・中国科学院の研究院のひとつで、670人の研究員を擁しており、高性能コンピューティング領域で顕著な研究業績に与えられるGordon Bell賞を2016年に受賞している。
■スマート交通
渋滞の発生抑止などを目指す研究テーマ「次世代スマート交通」では、現在貴陽市で取り組みを進めているISCASのカメラデータ解析技術と、NTTデータの交通シミュレーションと、信号制御の適正化など交通管制技術を組み合わせ、渋滞の抑制、広域の交通流の改善を図る。
また、インフラ整備中のBRTやタクシー、近い将来の利用開始を予定している地下鉄に関するビッグデータの収集と分析をおこない、公共交通の利便性・利用率向上に向けた都市交通計画の作成、施策展開などをおこなう。
観光の活性化にも応用する計画で、同市が収集し、ISCASが解析しているGPSデータなどを用いた出発地・目的地データなどに対し、AIを活用して交通流予測などをおこない円滑な域内移動のためのナビゲーションや交通管制計画を策定していく。
■環境系IoT
貴陽市が進める環境IoT5カ年計画とも連動し、新たに大気環境や水資源などのリアルタイム観測検証環境を構築、リアルタイムに観測・収集するデータをもとに、高精度化した大気環境や水資源の分析や予測モデルの構築を目指す。

↑ 次世代スマート交通のイメージ図。ISCAS(左)が画像分析で交通状況を可視化、NTTデータ(中央)が交通状況の改善をシミュレーションし、貴陽市(右)が交通管制をおこなう(画像提供:NTTデータ)



