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【BizCHINAコラム】東京・代々木公園の閉鎖事例も──蚊が媒介する「デング熱」

【BizCHINAコラム】東京・代々木公園の閉鎖事例も──蚊が媒介する「デング熱」 漫步创媒Whenever上海
2020-03-23
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导读:経済と感染症が密接な相互影響を持つに至った今、新型コロナウイルス以外の感染症にも目を向けていこう。

「小さな村や町で発生した感染が、まさにボーダーレス状態で広がり、世界規模での流行を引き起こす可能性も出てきました。感染症対策も地球規模で考えていかなければいけない時代になったということでしょう」──日本の公益社団法人国際厚生事業団が2014年度に鳴らした警鐘だ。現在の情勢を先取りしたメッセージといえる。経済と感染症が密接な相互影響を持つに至った今、新型コロナウイルス以外の感染症にも目を向けていこう。

 

日本では全数報告対象

 冒頭の一節は、同事業団が厚生労働省委託事業として2014年度に実施した新興・再興感染症研究のレポート「感染症は一国の問題ではない。~エボラ出血熱、デング熱を例に~」の中のコラム「ボーダーレス社会とエボラウイルス」に盛り込まれたメッセージだ。

 もうひとつのデング熱についても、「海外との往来が年々活発になり、デングウイルスに感染している人が流行地(流行国)から非流行地(非流行国)に入るケースや、流行地で感染し帰国後に発症するケースが多くなっています」と指摘している。

 デング熱という名は、日本の国際空港でも以前から注意喚起しているので、見覚えのある人も多いだろう。日本では、診断した医師は直ちに保健所に届ける義務がある「全数報告対象」の疫病だ。エボラと違い日本でも発症者が増えており、中国南部も発生地に含まれている(※1)ので、こちらをクローズアップする。

 

年間1億人が発症、2万人強が死亡

 デング熱には年間約4億人が感染、そのうち約1億人が発症し、2万2000人が死亡している(※2)。

 中南米や米国の一部、アフリカ、中東、アジア、太平洋など世界100カ国で発生しており、発生地の居住人口は合計30億人に達する(※2)。

 病原体はデングウイルスで、蚊によって感染者から感染者へと媒介される(※1)。主たる媒介蚊であるネッタイシマカは日本には常在していないが、本州以南に生息するヒトスジシマカも媒介する(※3)。

4つの型があり、感染した型には終生免疫が得られるが、他の型に対する免疫は数カ月で消失する(※1)。

 感染3~7日後に発熱し、眼窩痛・筋肉痛・関節痛を伴うことが多く、食欲不振、腹痛、便秘を伴うこともある(※1)。発症3~4日後に胸部・体幹から発疹が出現し、四肢や顔面に広がる(※1)。吐き気・嘔吐もよく見られる症状だ(※2)。一般的には2~7日間ほど症状がつづき、1週間以上過ぎたあとで回復する(※2)。

 発症者の5%ほどが重篤化してショック状態や体内出血を発症、さらには死に至るケースもある(※2)。小児や妊婦のほか、前述のように一度感染したあと他の型に感染した場合は、重篤化リスクが高い(※2)。

 専用の治療薬や治療法は存在せず(※2)、日本国内で利用可能なワクチンもない(※3)。

 

↑蚊が媒介する疫病「デング熱」。高温多湿の地域で流行し、年間2万人以上が死亡している。治療薬もワクチンもない

 

60余年ぶり、国内感染復活

 日本では60年以上、国内感染は報告されていなかった(※3)。だが、海外の流行地で感染し帰国・入国した症例として、近年では毎年200人前後が報告されている(※3)。2000年代は年間報告数が数十人~104人だったので確実に増加傾向にあり、国内流行が危惧されていた(※4)。

 そして2013年にはドイツ人渡航者が日本国内で感染したと疑われる症例が報告され(※3)、翌14年には東京の代々木公園を中心に、69年ぶりの国内流行が発生した(※4)。

 このときは代々木公園内で採取された蚊からデングウイルスが検出され、9月4日から10月31日まで代々木公園が閉鎖される事態になっている。8月27日の国内感染者の確認以降、代々木公園の閉鎖が解除されるまでに159人の感染が確認された(※5)。

 その後も16年には海外からの帰国者がデング熱を発症、重篤化して死亡(※3)したり、19年には奈良市内または京都市内で感染したと推定される、海外渡航歴のない患者が確認されたりという事例が生じている(※6)。海外で感染して帰国・入国した症例の年間報告数は、19年には461件に跳ね上がった(※3)。

 

↑東京の代々木公園。69年ぶりに復活したデング熱の国内流行で、2カ月近く閉鎖された

 

拡大する蚊の生息域

 ネッタイシマカは1955年以降、日本国内からは消滅したとされており(※3)、2014年の流行も媒介力が弱いヒトスジシマカによるものと考えられている(※4)。

 だがヒトスジシマカの生息域は、1950年代は栃木県北部が北限だったが、温暖化や人・モノのグローバル移動の影響で、現在は秋田県と岩手県南部まで広がっている(※4)。ネッタイシマカも今日では、航空機によって日本国内に運ばれる例が確認されており、定着の可能性は皆無ではない(※3)。

 代々木公園は年間を通じて多くのイベントが開催され、日本内外から年間500万人が訪れる(※4)ので、連休がつづく秋の2カ月にのぼる閉鎖は、相応の経済的な影響ももたらしただろう。さらに閉鎖期間中には、静岡県を含めた代々木公園以外の場所で国内感染したと考えられる患者が、複数報告されている(※7)。

 今後、広域で流行が生じ、経済活動に深刻な影響を及ぼす事態もないとは言えない。

 

市民・企業にできる対策は

 一般市民や企業のできる対策は何か。

 蚊に刺されないこと、蚊の発生を減らすことだ(※3)。

 蚊のいそうな場所にいくときは肌の露出が少ない服装にし、虫よけスプレーなどを使用する(※3)。

 蚊の発生対策として、藪や草むらの下草刈り、水たまり(植木鉢の皿、雨除けのブルーシートや古タイヤ、雨ざらしの容器・用具、屋外に放置された空き瓶・缶・ペットボトル、詰まった排水溝など)の除去・清掃も重要となる(※3)。

 国際厚生事業団は2014年の日本国内流行が、蚊が媒介する感染症や、蚊の発生をコントロールすることの重要性に対する国内認識が希薄になっていた隙を突く「69年ぶりの不意打ち」だった、と指摘している(※4)。

 世界は確実に変化している。

 

※1:日本国国立感染症研究所公式サイト

※2:米国疾病予防管理センター(CDC)公式サイト

※3:日本国厚生労働省公式サイト

※4:日本国公益社団法人国際厚生事業団レポート「感染症は一国の問題ではない。」

※5:日本国厚生労働省2014年10月30日付報道資料

※6:同2019年10月16日付報道資料

※7:同2014年9月10日付、9月18日付、9月25日付報道資料



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