人が集まる空間に価値創造
各国企業と協業でシナジー生み出す
日本の家具・産業用機器などの大手「オカムラ」は2004年に中国に進出して以来、機能性・耐久性に優れた製品を供給するメーカーとしての認知度を高めてきた。しかし中国ビジネスの環境変化は激しく、同社は中国ビジネス再編に着手。ECビジネス強化、グループシンガポール企業と連携、中国フォークリフトメーカーとの協業などで、さらなる発展を目指す。今回は一昨年末に上海に赴任した、国際経験豊富な林哲総経理に話を伺った。

ー株式会社オカムラ並びに中国オカムラについてご紹介ください。
株式会社オカムラは家具、産業用機器などの製造を中心とするメーカーですが、中国はもちろん、米国・欧州・東南アジア・中東などグローバルに展開しています。戦後間もなく働く場所を失った技術者が集まり、自動車や小型飛行機から家具まで様々な設計や製造をしてきましたが、最終的にオフィス家具と産業用機器の製造分野をメインビジネスとしてきました。その歴史を積み重ねて行く中で耐久性や機能性を追求するこだわりのメーカーとしての名声を得てきました。
オカムラは「人が集まる空間(スペース)に価値を創造する」が経営の基本モットーです。現代人の活動する空間はオフィス、商業施設、公共施設(学校、劇場、交通など)、工場、倉庫など多岐にわたり、これらの空間をより機能的で魅力あるものにすることで価値を創造しております。
私ども中国オカムラは2004年に設立して以来、この地でビジネスを18年間続けてまいりました。中国では上海、成都、北京、香港地区に拠点を持ち、事業を展開しています。主に①家具の販売 ②オフィス・商業施設の設計・施工③工場・自動倉庫の設計・施工の3つの分野です。虹橋空港並びに浦東空港のロビーにあるベンチは一部、弊社の製品をご利用いただいております。弊社の中国ビジネスも新型コロナウイルスによる影響を受けておりますが、将来を見据え、積極的なビジネス再編により新たに成長を図っていく予定です。
自然をモチーフにしたライブオフィス
ー中国での今後のビジネス展開についてお聞かせください。
オフィスや商業施設の設計、施工分野については、日本本社が買収したシンガポールの内装設計・施工会社「DB&B」の上海オフィスと連携して事業を拡大していく所存です。欧米、ローカル企業に強みのあるDB&B中国と、日系企業に強い中国オカムラとのシナジー効果を最大化していきたいと思います。
工場・倉庫設計・施工分野では、中国の有力フォークリフトメーカー「杭叉集団股份有限公司」と合弁会社を設立。自社で倉庫用のクレーンを含む設備を製造し、中国でも急速に進む倉庫の立体化・自動化に、より高度に対応できる体制を整えていく計画です。
家具分野については中国オカムラが独自で拡充を進めていく方針です。日系企業とのビジネスは今後さらに強めていかなければなりませんが、実力をつけている中国企業(ITやゲーム産業など)もぜひ開拓していきたいと思います。これまでは中国の代理店経由のBtoBビジネスが中心でしたが、今後は「淘宝」「京東」などのオンラインショッピング(BtoC、一般消費者)も強化していかなければなりません。地方に強みのある「拼多多」との取引もスタートする予定です。
弊社商品を直接実感していただくリアル店舗として現在、古北エリアの髙島屋日本館に弊社の家具を陳列・販売しております。今後、BtoCの売上を伸ばしていくために、より消費者のニーズに応える商品の開発などにも取り組みたいと思います。

OKAMURA x ITALDESIGN 次世代のタスクシーティング
ー社員間交流にも重きを置かれているとか。
日本からの派遣社員9人を含め、約90人のスタッフが中国3拠点で勤務しております。オンラインビジネス分野では中国現地スタッフの能力をフルに発揮しなければ成長は難しいと感じております。また、オフィスや商業施設の設計・施工分野では「DB&B中国」のスタッフとの協業をさらに高めていきます。工場・倉庫の設計・施工分野でも同様に杭叉集団股份有限公司との連携も深める必要があります。このように中国オカムラ並びに協力会社の社員との交流をさらに深め、総合的に力を発揮する会社を目指しております。
ーご自身のこれまでのキャリアについてご紹介ください。
1983年に「三菱商事」に入社し、鉄鋼ビジネスを専門としてきました。「日商岩井」(現双日)と合弁の鉄鋼専門商社「メタルワン」にも出向しました。商社時代は海外ビジネスをメインとして歩んできましたが、香港・深圳(93~98年)、シンガポール(2001~03年、16~18年)、米シカゴ(09~12年)と長い駐在経験があります。海外ビジネス、多国籍文化への対応など多くの事を学ばせていただきました。私のビジネスキャリアは約40年となりますが、そのうちの半分は米国、シンガポール、中国を含む海外であり、海外ビジネス経験を中国のビジネスにおいて活用していきたいと思います。
現在は縁あってオカムラで勤務しておりますが、ここでもシンガポール駐在(18~20年)を経て、20年12月より上海に赴任しました。残念ながら新型コロナウイルスの時期に重なってしまい、厳しいビジネス環境ではありますが、これまでの海外経験を生かし、苦境に負けないようにチャレンジしていきます。
ー週末の過ごし方についてお聞かせください。
還暦を超えていますので、体のケアに特に気を配っています。ストレッチおよびヨガを週3回、マンツーマンで行っています。トレーニングジムは古北地区のAPITAの入るモール「金虹橋商場」内にあり、こちらには食事や買い物も含め、大変お世話になっております(笑)
※インタビュー及び提供資料に基づく情報はすべて取材対象者に由来しており、本誌がこれらの情報の正確性と完全性について、保証するものではありません。
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