路上で転倒した老人を助けたところ、逆に罪をきせられ金銭を要求されるといった事件が最近、国内で多発しており、高齢者へ援助の手を差し伸べる人が少なくなっている。このような事態をうけて北京市ではこのほど、高齢者の安全を保障するために市政府主導の高齢者向け傷害保険が売り出された。発売開始からわずか2日間で7000口ほどを売り上げており、「史上最も売れ行きのいい保険」ともいわれている。
今年の6月、四川省達州市で3人の小学生が、転倒した65歳の女性を好意で起こしてあげたところ、「3人がぶつかって転ばせた」と訴えられた。この女性は、子どもやその親たちに治療費など2 万元以上の賠償金を求めたという。結局、女性が自ら転んだという数人の目撃者の証言を通じて、子どもたちの潔白は証明された。今回の傷害保険の発売は、高齢者の安全を保障するだけでなく、こういった他人を騙そうとする悪意ある行動を抑止する目的もある。そのため、高齢者の“転倒保険”と理解する人も多い。
現在国内で販売されている高齢者向け傷害保険は、加入条件が厳しい、価格が高い、補償範囲が限定されているなどの理由から、加入しづらい状況となっている。ところが、今回発売された保険は、北京で生活もしくは働いている50歳以上なら、戸籍を問わず加入が可能。保険料は1口15元で期限は1年。傷害補償額は最大5 万元、傷害医療補償額は最大5000元となっている。1 人4口まで加入できるため、最高20万元の補償金がもらえる。
このような安い保険は、加入率が高くないと保険会社が赤字になる。だが今回の保険は市政府の政策として実施しているためその心配もなかったようだ。
【華商新聞 12月20日】