インターネット上で普及している、画面上に視聴者のコメントが流れる形式の動画鑑賞を採用する映画館が最近、現れている。スクリーンに表示された番号宛に、観客が携帯電話のショートメッセージでコメントを送る仕組みで、文字が絶え間なく画面上に流れる様子から“弾幕映画”と呼ばれている。
北京市のある映画館も8月3日、3Dアニメ「秦時明月之龍騰万里」を、この弾幕映画の形で上映した。画面上には、「天明、少羽(共に主人公の名前)、あなたたち一緒になって」といった映画のストーリーに関連したメッセージの中に、「僕の席は7列目の10番。微信番号は…」「××(おそらく恋人の名前)、愛してる」などプライベートなものも乱れ飛び、観客が思い思いに楽しんでいる様子が伺えた。
また、携帯電話の電源を消費することから、映画館によっては充電器を用意しているところもある。北京にある、こういった映画館の一つでは、画面上に「私の座席は7列目19番。充電器はどこ?」とメッセージが流れると、即座に「私は充電器。呼んでいるのは誰?」と応答メッセージが現れ、会場中が笑いに包まれるという一幕もあった。
この弾幕映画は現在のところ、観客を呼び込む一つの手段として取り入れられているが、ある映画制作者は「映画のあり方を変える可能性がある」と話す。「観客の意見や判断により次に続くストーリーが変わるといった、新しいタイプの映画も出てくるのでは」とし、さらに「映画館が出会いの場になったりと、コミュニティー的な利用方法も考えられる」と予想する。
ネット上での動画閲覧と違い、顔の見える不特定多数の人々と体験を共有できる半面、自分の好みでコメント表示の有無を切り替えられないのがデメリット。せっかくのカメラワークや雰囲気が文字で台無しという意見もあるほか、公共良俗に反するようなメッセージをどう防いでいくかという課題も指摘されており、当面、導入する映画館はごく少数にとどまりそうだ。【揚子晩報 8月7日 転載】

