【産業トレンド】上海で新空港計画　ヘリにジェット、新たなハイテク産業集積の拠点となるか

漫步创媒Whenever上海

2017-06-05

导读：上海市で、相次いで新しい空港の建設計画が発表されている。発表内容をもとに、背景や産業集積効果などを読み解く。

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　上海市で、相次いで新しい空港の建設計画が発表されている。4月11日には上海市人民政府が、ビジネスジェット（企業用プライベートジェット）専用空港の新設に向け、企画・研究を進めていることを明らかにした。また4月14日には、市街地中心部にある龍華空港跡地を、ヘリコプター専用空港に再利用する計画が発表されており、こちらは2019年の供用開始を目指している。

↑ビジネスジェット専用国際空港の例（米国アトランタ近郊のPeachtree空港）。上海の国際ビジネス都市としての発展で、同様の空港機能にニーズが高まってきた

　上海市中心部は各所で再開発が進み、ハイテクやIT、サービスなど都市型産業の受け皿としてのオフィスビル街も建設され、次代のリーディング産業の担い手となる企業群の進出も始まっているようだが、新空港群は、それらのビジネス航空需要を満たすための都市インフラとなる。一方、いずれの空港計画でも、機材整備などの関連産業の集積を視野に入れており、工業テクノロジーの発展促進という面にも注目したい。

↑画像＝上海で毎年開かれているビジネスジェットの見本市ABACE。今回の専用空港構想も同会場で公表された

　上海では現在、虹橋と浦東で定期便とともにビジネスジェットの発着がおこなわれているが、政府発表によると、華東地区の民間航空の旅客輸送量は全国シェア29%を占めるのに対して、ビジネス航空の発着量では全国シェア19%にとどまっている。半面、直近数年間のプライベート機の発着量は年平均20%以上で増加しつづけており、需要の受け皿として新たに専用空港が必要と判断された。建設地点は既存2空港とのバランスを考慮して選定するという。

　欧米では、定期便空港以外にビジネスジェット専用空港が一般的な都市インフラとして定着しており、アジア太平洋地域においても、APECなどで専用空港の整備を求める声が、欧米政財界を中心に上がっていた。上海がこの種の空港を開設すれば、アジアの航空関連産業にとってもひとつのターニング・ポイントとなり得る。

↑虹橋空港に立地するビジネスジェット専用格納庫のひとつ。ABACE会期中はブース会場となるが、普段はジェット機の格納・整備がおこなわれている

↑ジェット機整備ハンガー。航空機エンジニアリングや部品産業の集積拠点となる。パリのビジネスジェット専用国際空港内にて

　もうひとつ、上海市人民政府が目指すのが、関連産業チェーンの育成だ。政府発表によると華東地区では3月末現在、ビジネスジェットや自家用機の運航事業者が67社、機材数は371機が登録されており、運航、給油、航空機の整備・修理といった諸産業が興隆しつつある。専用空港の設置と発着需要の増大で、これらの諸産業の育成を促進しようという考えだ。

↑自家用機専用空港に立地する航空機部品ショップ。ロンドン郊外のBiggin Hill空港。余談だが、同空港は映画「ダ・ヴィンチ・コード」にも登場する

　これらの背景はヘリ専用空港にも共通する。龍華空港は1917年に開設された上海最初の民間空港だが、1966年以降はその役割を虹橋空港に譲り、訓練飛行などに使用されたのち、2008年から空港としての役割を終え、道路などに転用されていた。現在では空港設備はほぼ撤去されている。

　今回の計画では、この空港跡地の3万㎡をヘリコプター用の発着場および格納庫に利用する。ヘリの主用途は都市管理と救急活動で、さらに都市間のビジネス輸送にも提供する。遊覧飛行はおこなわない。ヘリ21機まで常駐させるサイズで、2020年までに年間4000発着回の需要を見込んでいる。こちらでも管制塔以外にメンテナンス施設の建設を予定している。