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京都大学は7月3日、中国の歴史記録「元史」と「明史」から、オーロラや太陽黒点と思われる記録を抽出した、と発表した。年輪の炭素同位体比などから復元した太陽活動の長期記録と一致しており、過去の成果も含めると隋から清までの長期の「観測データ」を整理できたことになる、という。
文学研究科修士課程学生の早川尚志氏(現・大阪大学博士課程学生)、理学研究科博士課程学生の玉澤春史氏、磯部洋明総合生存学館准教授らの研究グループが手がけた。「元史」からはオーロラと思われる記述を20件、「明史」からはオーロラ10件、太陽黒点と思しき記述を26件見つけた。
太陽フレアは時に地球の地磁気にも影響を与え、大規模な場合の被害総額は約2兆ドルにのぼるとの試算もあり、デジタル化が進む世界の新たな自然災害とみなされている。また、黒点の増減など太陽活動が地球の気候に影響を与えていることも分かってきている。しかし太陽の活動周期に比して、望遠鏡などでの観測記録は最長でも400年程度しかさかのぼることができないため、同研究グループは歴史記録と科学データの本格的な比較検討に取り組んだ。

↑ 中国の歴史書に記された「黒子(当時の太陽黒点の呼称)」の観測記録(画像提供:京都大学)



