抗ガン剤の副作用による心臓疾患の発症・重症化が、ガン治療における新たな課題として浮上している。この課題に対処するため、PET(陽電子放射断層撮像)検査機器開発メーカーのUnited Imagingと米国ワシントン大学が提携した。United Imagingの技術とワシントン大の心疾患治療ノウハウを組み合わせ、副作用の早期発見を図る。
抗ガン剤の一部には心臓に有毒な成分が含まれており、心疾患が発症・重症化するケースもあることから、早期発見・治療を目指す研究が増えている。
United Imagingとワシントン大学が共同開発したPETによる心疾患検査プラットフォームSENC(Strain-Encoding)は、陽電子撮像により心臓の筋肉の収縮強度を測定し、豊富なデータを蓄積していくことで、患者の心機能状態の検査精度を高め、ガン治療法の調整に役立てようというもの。
PETなど撮像検査により早期発見を目指しても、心臓は非常に複雑な動きをする臓器であるため、患者が長時間にわたり静止状態をつづける必要があるなど、検査精度に難があった。両者が共同開発したプラットフォームは、AIを用いて心臓のPET画像の描画および画像処理速度を大幅に高め、所要撮像時間を10分程度に短縮し、患者の負担軽減と検査精度の向上を図っている。
(United Imagingの9月18日付ニュース・リリースより。背景は日本経済新聞6月23日付記事なども参照)
↑ 抗ガン剤副作用の心疾患対策に向け、ワシントン大学(写真)とUnited Imagingが提携(写真はUnited Imagingのニュース・リリースより)



