養楽多（中国）投資有限公司
董事・総経理 松浦 祐司氏
50カ所の事業拠点から中国全土へ「予防医学」「健腸長寿」の企業理念を広めるヤクルト。今回は養楽多（中国）投資有限公司の董事・総経理に今年就任した、松浦祐司氏にインタビュー。ヤクルトの中国事業展開や今後の展望などについて伺った。
「健腸長寿」「予防医学」をサポート
中国大陸の50拠点からヤクルト広める
ーヤクルトの海外、中国事業展開を教えてください。
ヤクルトは医学博士である創始者、代田稔（しろたみのる）が衛生環境や栄養状態の悪い20世紀初頭の日本を目の当たりにし、病気にかからないための「予防医学」こそが重要という思いから、微生物研究に励み、乳酸菌を多くの人の健康に役立てる道を切り開いてきました。1935年に開発された乳酸菌乳飲料「ヤクルト」は現在、世界40の国と地域で、毎日平均延べ4000万人以上の皆様に愛飲していただくまでになりました。
中国大陸でのヤクルト事業が本格化したのは、広東省広州市で広州ヤクルト（広東省・海南省を管轄）の製造工場を設立し、「益力多」のブランドで販売を開始した2002年です。1969年に、中国香港地区でヤクルト販売がスタートしていましたので、広州におけるヤクルトの知名度はある程度あったと思います。その後、03年、上海にて「養楽多」ブランドでヤクルトの販売を開始、06年、上海市にヤクルト製造工場を稼働。その前年05年に設立した養楽多（中国）投資有限公司とともに、本格的に中国全土への販売をスタートいたしました。
おかげさまで現在では広州ヤクルトと合わせて中国大陸に50拠点、広州（2カ所）、上海、天津、無錫、佛山にて合計6つの生産工場を有し、生産から消費者の手元までのコールドチェーンを確立。安全・安心かつ健康のためのおいしいヤクルト製品を提供しております。
ー総経理のご経歴をお伺いします。
私は2003年2月、ヤクルト本社に中途入社致しました。2カ月の本社研修の後、養楽多ブランド発売に伴い中国上海に異動。以来ずっと中国ビジネスに携さわり、私のキャリアそのものとなっています。06年には養楽多（中国）投資有限公司へ異動。上海をベースにしながら、財務、人事、総務、法務、IT、監査等の管理部門を中心としてヤクルトの中国展開に携わってまいりました。管理面を中心として中国現地法人の組織、システムをゼロからこつこつと作ってきた感があります。
本年6月より養楽多（中国）投資有限公司の董事・総経理を拝命し、広州ヤクルトが管轄する広東省・海南省以外の中国大陸事業の運営責任者となりました。中国大陸の従業員は広州ヤクルトと合わせて現在、6000名を超えました。ヤクルトの中国大陸事業は新たなステップに踏み出したと感じております。
私自身は若い頃から、海外志向が強く前職でも米国NY駐在（92～94）、中国深圳駐在（95～99）を経験し、海外勤務経験が通算で約25年に達しました。営業、プロジェクト管理と多様な経験をしてきましたが、これまでの私のキャリアの集大成としてヤクルト中国事業のさらなる飛躍のために全身全霊で打ち込んでいきたいと思います。
ー経営において重視している点は。
中国社会の成熟とともに経済並びに消費市場の成長率が鈍化してきました。従来のやり方を踏襲するだけでは生き残れない時代に入ったと感じています。このため、社員の意識変革について、3つの指針を打ち出しました。迅速（スピード）、明朗（明るさ）、積極（積極性）です。弊社は中国において、あくまでも挑戦し続けるベンチャー企業でありたいと思っています。
これからは既に進出している中国大陸の事業拠点から、各地域の市場にさらに深く入り込み耕すことが必要です。ヤクルトレディーは、お客様と直接会話ができ、情報発信、収集の起点となることができますので、この販売ルートが拡大できればと思います。同時に電動バイク、小型車などを利用した、きめ細やかなネットワークの構築も重要になってきます。
商品面では、16年1月より低糖低カロリーかつ、カルシウムとビタミンDを配合した「乳酸菌飲料ヤクルト」を青いラベルで販売し、より高い健康志向の方に多くご利用いただいております。また、上海、浙江、江蘇地域のコンビニにて、10月15日より、3本パック商品をスタートしました。マーケティングやセールスの世界においても早いスピードでの進化が見られます。今後、広域で変化スピードの速い市場に対応するには、ITの活用が不可欠です。ERPを基盤として、あらゆる経営リソースを可視化、集約化し、将来的にはAI、IoTを利用した経営が必要となるでしょう。オンライン、SNSを利用した新しいPR方法も本当に目まぐるしく変化しますので、中国の若い人の感性を積極的に取り込んでいきたいですね。
ー今後の展望についてお聞かせください。
ヤクルトは中国においても、学術機関や基金と一緒に予防医学の啓蒙活動や共同研究を促進してきました。例えば、上海科学普及教育発展基金会がヤクルト健康教育専門基金を設立し、毎年「5月29日世界腸健康日」イベントを主催しております。
近年、人に良い働きをする乳酸菌やビフィズス菌などの微生物を「プロバイオティクス」として健康に役立てようという考えがますます注目を集めています。これは、ヤクルト創業者代田稔博士が提唱した「健腸長寿」「予防医学」そのもの。私達ヤクルトは、この思いを中国に広め、安心安全なヤクルト商品を通じて、中国の皆様の健康と楽しい生活づくりに貢献していきます。ヤクルトファンを一人でも多く増やし「ヤクルトを飲んで体の調子がよくなった」というお話をできるだけ多く聞けるようにしたいです。
今年9月、安全性と持続可能性の問題の解決に貢献した食品業界の企業を表彰する「中国食品健康七星奨十周年特别感谢」を受奨
ヤクルトレディーは販売ネットワーク構築の要
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