今年1月に新しく東アジア地域総括、NX 国際物流(中国)董事長、NX香港取締役会長に就任したNIPPON EXPRESSホールディングス株式会社執行役員松尾純利氏に、グローバル・ロジスティクスカンパニーへとグループを挙げて変革している同社の東アジア、中国戦略について伺った。

―先月上海に赴任されたばかりだそうですね。
今年2月に3度目の上海に赴任となりました。以前は2004年から07年そして12年から18年と合計で9年弱上海に駐在していましたが、急速に発展する中国経済とともに弊社中国ビジネスも順調に拡大してまいりました。
今回は東アジア地域総括並びにNX国際物流(中国)有限公司とNX香港株式会社の責任者として東アジア全体の物流事業の統括運営管理を負託されることとなりました。管轄先は中国大陸、香港地区、台湾地区、韓国、カザフスタンなどとなります。これらの東アジア地域には35の現地法人を擁し、58都市に56支店、31事務所、222拠点があり、合計で約5900人の従業員が在籍しています。
今後、上海を拠点として管轄地域全体へも頻繁に足を運ぶ必要がありますが、本年からさらに自由な往来ができる見通しが立ってきましたので、仕事がやりやすくなるのではと期待しています。
―昨年は貴社グループにとって大きな変革の年だったと伺いました。
弊社はこれまで日通(日本通運)として広く認知されてきましたが、2 0 2 2 年1 月、当社グループ名を従来の「日本通運グループ」からNIPPON EXPRESSを短縮した「NXグループ」へと刷新しました。また、グループのロゴも「丸通マーク」から「NXグループブランドシンボル」へと変更いたしました。これは22年1月に当社グループを、NIPPON EXPRESSホールディングスを持ち株会社とするホールディングス体制へ移行するのに合わせて変更したものです。さらに会計基準も国際基準を採用し、会計年度もグローバルスタンダードの12月決算に変更しました。
今回のこれらの変更は、2037年の創立100周年への長期ビジョンである「グルーバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニー」に向かって、グループ総力を挙げた進化を果たすためのものです。グローバルで信頼を獲得しているNIPPON EXPRESSをシンボル化した「NX」をブランディングとして利用していくことに決めました。NXグループでは、傘下のグループ会社が「一つのチーム」としての意識を共有し同じベクトルを持ち、一体的経営を推進していくことにより、お客様ならびに社会に対して提供する価値を最大化していくという長期ビジョンを掲げております。
―今後の経営方針についてお聞かせください。
私のNXグループでのキャリアを振りかえると、欧州・中国を含む海外勤務が合計で16年間と長かったことが挙げられます。これまでの海外経験から私は5つの経営方針を掲げています。
①従業員を幸せにする経営をする。「企業は人なり」とはよく言ったもので、お客様に良いサービスをするためには、やりがいを持って働く従業員の存在が不可欠です。3回目の上海勤務ですが、中国のナショナルスタッフの多くが継続して働いてくれているので心強い限りです。彼らが豊かな人生を感じられるように励みたいと思います。
②管轄地域には先述したようにグループ会社がたくさんあります。これらを束ねてグループシナジーが最大限に発揮できるようにしたいと思います。
③「マーケットイン」の考え方を徹底していきたいですね。お客様の課題に対して適切なソリューションを提供できるサービスを目指していきます。
④ガバナンスを高め、より高度な物流サービスを提供していくことです。安全 · コンプライアンス · 品質をすべてにおいて優先しなければビジネスの成長はないということを肝に銘じたいと思います。
⑤現経営計画の目標達成です。グループ全体で2019年から5カ年の中期経営計画を立てていますが、本年が現経営計画の最終年です。22年は過去最高益を達成しましたので、経営環境変化にスピード感をもって対応し、今年もより一層がんばっていかなければなりませんね。
短期的な目標達成と同時に、長期的には次期経営計画を意識しながら、次世代の社員に自信を持って引き継いでいけるような基盤づくりをしていきたいと思います。

従業員スタッフたちと(本人は中央)
―最後に仕事のモットーとしていることをお聞かせください。
仕事を仲間と一緒に明るく楽しく、メリハリを持ってやっていくことです。過去の中国勤務で新年会の度にバンドを結成して出演していました。コロナも落ち着いてきたので、来年は久しぶりに華東地域の年会で再度演奏できたらと思います。700人規模の会ですが、大いに盛り上げたいですね!

2017年の年会での一コマ
[NX国際物流(中国)]
住所:上海市長寧区延安西路2299号上海世貿商城11階
電話:021-6295-0202
URL:nipponexpress.com
※インタビュー及び提供資料に基づく情報はすべて取材対象者に由来しており、本誌がこれらの情報の正確性と完全性について、保証するものではありません。
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