
テニスの全米オープン最終日は北京時間9日早朝、男子シングルス決勝が行われ、錦織圭選手とマリン・チリッチ選手(クロアチア)が、 ともに初の四大大会優勝をかけて対戦した。期待が寄せられていた錦織選手は残念ながらチリッチ選手にストレート負けを喫したが、それでもアジアテニス界の誇りであることには変わらない。

オリンピックの成績では日本は遠く中国に及ばないが、日本の青少年のスポーツ普及や青少年の資質は中国よりかなり優れている。1989年12月29日生まれのこの若きテニスプレーヤーは、中国青少年のスポーツの発展に多くの示唆を与えてくれる。
日本の青少年スポーツの理念ややり方
▽テニス界 日本テニス協会の「プロジェクト45」が達成
錦織選手の成功は偶然の産物ではなく、日本テニス協会が力を入れて丹念に育成したアイドル級の人だ。日本テニス協会のいわゆる「プロジェクト45」は、日本の元プロテニスプレーヤー・松岡修造氏がきっかけとなって誕生した。1986年、松岡選手は世界ランキング46位という、男子テニスの日本人最高記録を樹立した。日本テニス協会は、この成績に満足せず、今後より多くの日本人選手がこの順位を追い抜き、日本テニスの発展をけん引してくれるよう願い、「プロジェクト45」を立ち上げた。ソニーなどの大企業がスポンサーとなったこのプロジェクトでは、1990年代より、12歳以下の若い選手を選抜し、米国でのトレーニングなどをサポートしている。
▽卓球界 スター育成計画

日本では卓球が青少年の間でかなり普及している。日本卓球界の「スター育成計画」は、低年齢選手の成長に向け条件を整えた。福原愛や石川佳純は幼い頃から中国に留学していたが、彼女達も「スター育成計画」の代表的人物だ。卓球女子日本代表監督の村上恭和氏は取材に答え、「日本卓球協会は近年、中国から多くのコーチを招き、トレーニングの水準を大幅に高めた」と語った。伊藤・平野両選手のコーチも中国人だ。
現在、卓球の日本女子はナショナルチーム、18歳以下を対象としたジュニアナショナルチーム、12歳以下を対象としたホープスナショナルチームに分かれており、コーチ28人のうち8人が中国人だ。
中国が参考にすべき点はどこにあるだろうか
▽スポーツ青少年人口と層の厚さ

日本では、高水準の競技スポーツは二つの体系がベースになっている。一つはプロスポーツで、サッカー、野球、バレーボールなどいくつかの職業化された高水準の種目に限られる。もうひとつはオリンピックを目指す体系で、主に大学や一部の企業支援の社会人クラブがこれにあたる。
錦織選手の快挙と日本男子テニス界の発展は、一衣帯水の中国にとってプレッシャーであると同時に、励みにもなっている。しかし、テニスの基盤という面から見ると、我々が成功するにはまだまだ長い道のりが必要だ。なぜなら、錦織選手の成功は、選手1人だけの功績ではなく、テニス協会や財団による支援があったためで、選手を取り巻く環境がとりわけ大きな役割を果たしているためだ。
▽日本の選手育成は挙国体制
中国テニスの張択選手、呉迪選手は上海マスターズのワイルドカード(特別出場枠)獲得を目指し上海でATPツアーに出場しているが、張選手は初戦で敗退、呉選手も第3試合で敗退した。
日本では、世界ランキングでトップ100入りを果たす選手が着実に増えており、150位前後をうろうろしている中国男子テニス選手たちにとってはプレッシャーだ。これは、中国男子テニスが真の意味でプロ化を果たせていないことと関係がある。テニス競技の研究に長年携わってきた南京師範大学スポーツ管理学の楊麟・博士は、「テニスは中国におけるプロ化改革の先駆者と言えるが、日本と比べると、人材選抜、青少年のトレーニングなどで体制面の問題が見られる」と語る。
将来の道 「日本に学び、外国のものを中国に利用」

中国サッカー協会の蔡振華主席は取材に応じた際に、メディアの「日本のサッカーは我々の未来か」という質問に対して次のように答えた。「プロ化の改革を通じて、日本の女子サッカーはW杯で優勝し、男子サッカーはW杯のベスト16入りを果たした。現在、欧州の有名チームにも何人か日本人の若い選手がいる。日本のサッカーは民間の層の厚さにしろナショナルチームにしろ、我々の手本となる。我々は『洋為中用』(外国のものを中国のために利用する)ことはできるが、最終的な目標は学習を通じて自分を改善することで、競技スポーツの言い方で言えば、相手を倒す必要がある」。
「人民網日本語版」


