

日本の東海道新幹線で先日、人々を震撼させる焼身自殺事件が起きた。この事件による死亡者は焼身自殺の男性を含めて2人、負傷者は26人に上った。日本のメディアの報道によると、焼身自殺の男性は71歳の高齢者で、自殺前、周囲の複数の人々に年金が少なすぎて生活できないと訴えていたという。このニュースは、皆が抱いている福利厚生が充実している日本社会のイメージとはかなりかけ離れたものだが、日本の高齢者は実際どのぐらいの年金をもらっているのだろうか?高齢者の生活は余裕があるのか?それとも、困窮しているのか?
日本の高齢者の年金は実際個人によって非常に差が激しい。大企業あるいは公務員など比較的安定した仕事に長年ついていた人は、退職後も公共の年金が支給されるだけでなく、企業年金も支給されるので、退職後の生活も十分に足りるが、教育レベルが高くなく、安定した職業につけなかった人は、支給される年金も生活をしていくには足りず、老後も仕事を続けるしかない。
日本の社会では、一部高齢者の貧困問題はすでに大きな社会問題になっている。東京や大阪などの大都市では、帰るべき家がない高齢者が公園や橋の下、道沿いなどで暮らす姿を目にすることは珍しいことではない。昨年9月、NHKは「老人漂流社会"老後破産"の現実」というドキュメンタリー番組を制作した。この番組は日本の貧困高齢者の現状を描いたものだ。日本の高齢者人口はすでに3000万人を突破し、超高齢化社会に突入している。3000万人のうち600万人は独り暮らしの高齢者で、600万人のうち300万人は生活保護水準以下の年金収入しかない。ここ数年、国家が支給する年金が引き下げられ、これと同時に、医療費の自己負担額や介護サービス費の負担がますます重くなる中、貯蓄ができず、最低の生活レベルで暮らす高齢者が「破産」寸前の状況にまで追い込まれているという。
今年、日本の厚生労働省の国家公務員を取材した際、この公務員は日本の福利厚生が大変厳しい状況を迎えていることを明かした。高齢化の影響を受け、国家の財政のうち年金支給額がますます増えつつあると同時に、年金を支払う若者がますます少なくなっているからだ。このほか、日本はこれまで国家財政の実力を超える高い福利を踏襲してきたが、現在の高齢化社会は贅沢な生活に慣れた高齢者に質素な生活を強いるものとなっている。
40数年前、田中角栄首相はそれまでの年金基準を2.5倍に引き上げて毎月5万円とした上で、さらに70歳以上の高齢者の医療費を無料化した。その後、日本の若者の敬老意識はますます薄くなっているにも関わらず、日本の政治家の敬老への希望はますます強くなっている。石油ショックにより日本の高度経済成長期が終わっても、高齢者の票を獲得するために、政治家たちは高齢者に向けて日本経済の実力以上の医療費や年金などの社会保障費を支給し続けた。月日が経ち、日本の社会保障制度や国家財政には黄色信号が点滅し、政府は年金の支給を削らざるを得なくなった。しかし、高齢者は明らかにこの現実を受け入れられずにいる。今年の4月、徳島県の高齢者16人は徳島の地方裁判所に、政府が消費税を上げると同時に、公的年金支給額の引き下げは生存権を侵害し、違憲だとして国を相手に提訴し、公的年金の減額の取り消しを求めた。当時、74歳の高齢者は、「これは高齢者の生活が実際にどのような状況にあるかを無視する決定で、食費、光熱費などの値上がりもあり、受け入れることはできない」と訴えた。
現在、日本の一般的な市民でも老後に貧困生活に陥るのではないかと心配する人は少なくない。最近、東海道新幹線で起きた焼身自殺事件が国民の不安をさらに増幅させたことは間違いないだろう。
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