

黒いスーツを着用し、黒い髪を束ね、黒いショルダーバックを担ぎ…日本で就職活動をする学生の多くはこのような「黒装束」だ。普段黒い正装を着ることはめったにないため、このように黒づくめの日本の就職活動ルールは一部の中国人留学生の「黒い憂鬱」になっている。
さらに中国人留学生は「大きな求職フェアに行くときは、ほぼみんなが同じ格好で同じカバンを持ち、恐怖を感じる」という。
日本は1980年代に「リクルートスーツ」という規範が登場し、2006年から徐々に黒色が就職活動者の主流となり、面接の「標準色」になった。中国人留学生が日本で就職活動をする際に生じる「黒い憂鬱」はある種の文化的衝突でもあり文化的融合でもあると言える。

日本は高齢化と少子化がますます深刻になり、経済発展に影響するだけでなく、公的サービスにとっても問題になっている。そこでアジアの隣国の青年達に日本での就職という新たなチャンスが訪れ、日本も対外開放や人材招致の取組を進めている。
▽日本の職場にいる中国人青年
東京の街角や地下鉄で黒っぽいスーツに身を包んだ若い女性を見かけたなら、その人は就職の面接に行くところだ。求職者は黒っぽいスーツを着るというのが、日本の就職面接での不文律だ。日本の職場は毎年、大規模な採用活動を繰り広げるが、雇用者が最も好むのはやはり卒業前・卒業間近の学生たちだ。
日本の雇用システムでは終身雇用が主流だ。雇用者は会社に対する社員の忠誠心を重視し、学校を卒業した人は人生初の就職先を大切に思い忠誠心を抱きやすい。忠誠心には2種類ある。1つは企業の社員に対する忠誠心で、会社はできるだけ社員を育て、社員の面倒をみる。新入社員に無料の社宅を提供したり、各種の研修や訓練を提供したりする。またどの会社にも正社員を対象とした各種の保険や年金の制度があり、必要なら社員の家族の保険・年金もある。もう1つは社員の会社に対する忠誠心だ。日本の社員は会社を家とみなす人が多く、自ら主体的に残業する光景は珍しくない。
日本で学び暮らす中国人留学生も、徐々に日本の労働環境に慣れていく。日本の各産業・各業界では、勤勉さ、細やかさ、効率が重視される。人が余り、お茶を飲んだり、新聞を読んだり、インターネットやゲームをして、だらだらと一日を過ごすという職場の風景はみられない。楽な仕事をしたいと考える中国人は、日本の職場では居場所がない。
日本の職場における仕事のきつさと企業文化に、一部の中国人は慣れることができない。日本の会社では同僚との人間関係は仕事上のつきあいにとどまり、中国のようなアットホームな雰囲気になることは難しい。中国の大学を卒業して東京の会社に就職した人は、職場の同僚とのよそよそしい関係にどうしても慣れないと話す。
ここ2年ほどは円安で、日本で働く中国人の一部は中国よりも給料が安いと感じている。だが肉体労働者が次々に帰国しているほかは、日本に根を下ろした中国人の多くは、引き続き日本にとどまることを選択する。
▽日本企業は中国人学生を直接雇用
日本企業は毎年、留学生を対象とした採用活動を行っている。早いうちから、日本では国際的人材の価値が重視され、一部の企業の上層部は管理職として海外のハイレベルな人材を直接雇用してきた。
これまで日本企業は日本の大学で学ぶ留学生を対象に採用活動を行ってきた。日本の大学で学ぶ留学生は、えり好みしなければ大体それなりの仕事を見つけることができた。日本の職場は肉体労働であれ、頭脳労働であれ、給与などの待遇が発展途上国のように大きく隔たるということはなく、ほぼバランスが取れている。低所得層に対しては、所得税の減免や子どもの教育費用の減免などの措置を通じて所得分配の調整が行われる。
ここ数年、日本は東南アジアとの経済貿易交流・協力を促進するため、東南アジア諸国の青年の日本への留学を積極的に奨励している。だが日本語は漢字を使用するため、日本語の習得という点では韓国や中国の学生にやはり強みがあり、東南アジアの学生よりも仕事を見つけやすい。
それでもなお日本では若い労働力が大いに不足気味だ。東京や大阪のような大都市を除き、日本の都市はどこも人口減少の問題に直面する。地方政府の多くは、外国人に各地にとどまって暮らすよう奨励するようになった。日本は過去数十年間の経済成長期にインフラ建設に力を入れたが、今ではそれらを利用する人は少ない。成田空港と市街地を結ぶ特急列車などは、1両に10人も乗客が乗っていないという光景が当たり前になっている。また日本の多くの地方には、児童が少ないため廃校になった小学校がある。
日本の一部企業は国内で適当な人材が見つからないことから、近年は中国で大学卒業生を直接雇用するというやり方を取り始めている。こうしたやり方は、これまでの日本での採用活動よりも質の高い人材を獲得しやすいという。大学でよい成績を収め、中国にいる日本人教員や大学の推薦を受けた卒業生は、限られた時間の面接で選ばれた学生よりも優れた人材であることが多いという。中国で直接採用した学生は、学習能力が高いため、日本の労働環境や社会生活により早くなじむことができる。
▽非伝統的な職種の人材がすぐにも必要
日本の各種産業は各国からの留学生を求めている。これまではコンピューター関係の人材、加工産業に従事する研修生、観光・経済・貿易・外国語・通訳などに関わる人材が日本で働く中国人の中心だった。
だが最近は社会の変化にともなって、一部の産業で中国人がすぐにも必要とされている。たとえば中国人が豊かになるにつれて、医療ツーリズムに参加する中国の富裕層がますます増えている。だが医療通訳は全然足りない。日本の医療従事者で中国語に堪能な人材はごくまれで、一般の通訳には医療知識がない。そこで日本政府は医療分野の重要性を鑑みて、数年前から予算を組み、医療通訳に関心がある人材を対象に研修を行っている。
また高齢化が深刻で、若い労働者が不足し、日本では看護士や高齢者を介護する人が極端に不足している。日本で看護士になるには難しい国家試験に合格しなければならず、東南アジアからの人材が日本の病院で看護士として働きたいと思っても、日本語の能力が十分でないため、試験に合格して資格を得ることは並大抵ではない。中国では、大連医科大学が日本で看護士として働くための専攻を設けた。ここの卒業生は日本では引く手あまただ。
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