

日本社会には現在、一日中自宅に引きこもって暮らす「引きこもり」と呼ばれる人々が存在している。
引きこもりの人々は、学校でのいじめ、家庭不和、仕事の行き詰まり、ネット中毒などが原因で、能動的あるいは受動的に通学や就職・通勤をあきらめた。彼らは通常の社交能力を持たず、家族とのみ最低限の会話をする程度だ。中には家族とも接触を避け、昼夜逆転の生活を続けている人もいる。厚生労働省によると、引きこもりの定義は「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6か月以上続けて自宅にひきこもっている状態」とされるが、実は10年以上、さらには数十年にわたり世間と隔絶した生活を送っている人も少なくない。
統計によると、日本には現在、100万人以上の引きこもりがいるという。この「失われた100万の人口」は、日本の総人口の約1%を占め、うち80%が男性で、修士の学歴を持つ人も多い。本来ならば、社会を背負って立つべき「若き志士」が、熾烈で過酷な社会競争の中で挫折を経験し、引きこもりになる道を選んでしまう--。最終的に、これは深刻な社会問題となっている。
引きこもりの出現は、日本の時代背景とも関係がある。日本のバブル崩壊後、企業は破産し、職員は失業し、自殺者の数も増え続けた。温室育ちの世代は、戦後の世代と比べて意志の強さや忍耐力・根気に欠けるため、一度挫折を味わうと、逃避を選び、自分だけの世界に閉じこもってしまいがちだ。
日本青少年研究所が中日韓3カ国の高校生を対象に実施した研究の結果、日本の高校生の向上心はかなり低く、重責から逃れようとする気持ちが極めて強いことが分かった。「将来偉大な業績を成し遂げること」について、日本の高校生の多くは、「責任が重い」「自分の時間がなくなる」など消極的な態度を示した。「偉大な人物になりたい」と答えた日本の高校生はわずか8%だった。一方、この割合は中国では22%、韓国では34%に達した。
このほか、漫画、ゲーム、インターネットなども引きこもりを助長している。日系米国人の作家ローランド・ケルツ氏は、「プライベートな仮想空間に逃げ込みたいという欲望は、日本の狭い国土と、窮屈な生活環境から来るもの。こうした現実的なニーズにより、日本では非常に複雑な仮想空間とネット交流システムが構築された。アニメや漫画のファンにとって、引きこもりは精神的な模範とも言える。彼らは二次元世界の中で自由自在に動き回り、快活に振舞い、実生活の中では得られない安心感と満足感を得られる」と指摘する。
深刻な労働力不足と少子高齢化に悩む日本社会にとって、引きこもりの増加は放ってはおけない問題だ。日本政府と民間組織はこれまで、引きこもり家庭を支援するための措置を講じてきたが、引きこもりは閉鎖性が高く、敏感な問題であることから、これらの措置は今に至るまで十分な効果が得られていない。
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