

上海浦東南路交差点の公共緑地に建設されているジェンダーフリートイレの工事が終盤に入り、11月19日の「世界トイレデー」に運用開始が予定されていることがこのほどあるメディアで報道されると、各界で様々な意見交換が起きている。実際のところ、「ジェンダーフリートイレ」なる概念が生まれてからすでに久しく、世界の多くの国ですでに設置されており、中国国内の各都市でも、数年前から同様の試みが始まっている。央広網が東方網、中国新聞網のニュースをまとめて報じた。
○「ジェンダーフリートイレ」を設置する理由は?
いわゆる「ジェンダーフリートイレ」とは、性別による利用者の制限が設けられておらず、男女だれでも使うことができるトイレで、性別の異なる家族でも、個室に付き添って一緒に入ることができる。世界トイレ機関の統計データによると、人は、1日平均6回から8回トイレを使う。トイレの使用時間は、女性が平均70―75秒、男性が平均30―35秒でトイレにかかる時間は女性が男性の1.5倍となっている。
ある専門家は「女性トイレの数は男性トイレの少なくとも2倍から4倍あるべきだ。現実生活においても、女性トイレに長蛇の列ができている一方で、男性トイレはガラガラ、といった光景はよく見かける。このような現状において、ジェンダーフリーを設置することは、男女のトイレ数の合理的配置に有利なる上、長時間トイレに並ぶことを余儀なくされる女性の悩みも解消され、一部の繁華街に公衆トイレを設置する空間を確保するのが困難であるという問題も解決される」との見方を示している。
○中国で「ジェンダーフリートイレ」が設置されている場所は?
便利で実用的なジェンダーフリートイレに、多くの都市が興味を示し、試行を始めている。2013年、瀋陽市は200基の移動型エコトイレを配備した。このようなエコトイレは、ジェンダーフリーだ。2015年、重慶市は「ジェンダーフリートイレ」を新設した。観光客がトイレに入り、鍵を閉めると、赤いライトが光り、「使用中」であることが分かる。青島市は今年、香港花園に「誰でもトイレ」を設置した。このトイレは、設計面で実用性と快適性に特に注意が払われており、ベビーベッド、幼児用便器、バリアフリー施設などさまざまな設備が備え付けられ、利用者の特別なニーズを余すところなく満たしている。
今年5月、北京市鼓楼東大街にある多くのバーのトイレに変化が起こった。トイレの入り口には、「性別に関係なく使えるトイレ(all gender toilet)」を示す丸いマークが掲げられている。マークの真ん中には、よく見られるパンツ姿とスカート姿の人のシルエットと、その2人以外に、半身男性で半身女性の人の姿も描かれており、このトイレがどの性別の人に対しても開放されていることを示している。この活動には、国連ウィメン(UN Women)、や国連開発計画(UNDP)も参画しており、ある程度の規模を備えた「性別で分けないトイレ」の普及活動としては、国内で初めてという。
○称賛する人、戸惑う人さまざま 専門家:「安全がキーポイント」
「性別で分けないトイレ」の登場は、多くの人の関心を集めている。ネットユーザーは、称賛する人がいる一方で、「これで男性はトイレにいけなくなる」とツッコむ人もいて、その反応はさまざまだ。だが、「鍵をしっかり閉める、ドアは必ずノックする、というマナーを守りさえすれば、まったく問題ないだろう」という意見もあった。
専門家は「男女共用の公衆トイレでは、バツの悪い思いをする人が出てくることはどうしても避けられない。この問題については、管理当局が対応措置を強化し、観光客がトイレを使う際のプライバシーと安全を最大限確保しなければならない。また、観光客も、自覚を持って意識を高める必要がある。女性は、トイレで挙動不審者を見つけた場合は、直ちに助けを求めること。男性は、マナー遵守を何よりも心がけ、喫煙は極力控え、女性がバツの悪い思いをしないよう、心配りを忘れないことが大切だ」との見方を示している。
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