

北京の中山音楽堂で7月11日、「あなたと上の空(我想和你虚度時光)」と題するコンサートが行われた。約1000人収容の同会場で行われたこのコンサートのチケットは1カ月前に完売。歌手は日本で活躍するシンガーソングライター程璧(チェン・ビー)だ。
シンプルなワンピースに三つ網にした黒髪、透き通る歌声の程璧に対する、第一印象はというと、「上品でもの静か」だった。ツアーの最終会場となった中山音楽堂は満席になった。北京のほか、杭州、上海、成都、広州、香港で行われたコンサートは全ての会場が満員になった。信じがたいことかもしれないが、ステージ上に立つ程璧は音楽を専門に学んだ歌手ではない。24歳になるまで、程璧自身も歌手になるとは想像もしてなかった。

1987年に山東省浜州市で生まれた程璧は、子供のころから祖母の影響で、詩を読んだり書いたりして育った。2009年、北京大学の修士課程で日本語を学ぶようになり、10年には交流生として日本を訪問した。その日本訪問が彼女の人生を大きく変えることになる。
「友達の家に行った時、ある友達がアコースティックギターを弾き始めた。その音に魅せられた。繊細であたたかい音色が部屋中に響いていた。すぐにギターが好きになった」と程璧。
この偶然の機会がきっかけで、程璧はアコースティックギターに興味を持つようになり、帰国後、大学のギターサークルに入り、音楽の創作活動に携わるようになった。
12年、修士課程を卒業した程璧は、日本の株式会社日本デザインセンター・原デザイン研究所に就職した。当時は、昼間は会社で働き、夜になると、自身のミニアルバムを手に小さなレストランやカフェなど歌を歌わせてもらえる場所を探しては、遅くまで歌っていた。そして翌日また朝早くに起きて出社するという生活を送っていた。そして7カ月後、そのような生活に飽きた彼女は、思い切ってアルバムを製作してみようと思い立った。そして、幸運にも、製作の準備をしている時に、詩に歌を付けるという発想を応援してくれる日本で活躍する中国人詩人・田原さんと出会った。

「田原さんは、日本人の詩人の友人も多い。また、日本の詩人・谷川俊太郎さんの翻訳者でもある。当時、私は、谷川さんの詩『春の臨終』が大好きだった。私がそれに曲を付けて、古川さんにデモテープを聞いてもらうよう田原さんに頼んだら、古川さんにとても喜んでもらえた」。

その後、田原さん、西川さん、北島さんなど、日本で活躍する中国人詩人が程璧をサポートするようになり、最終的に北島さんが命名したセカンドアルバム「詩遇上歌」(Poetry Meets Song)を14年8月にリリースした。程璧がこのアルバムを複数の音楽サイトにアップすると、予想を超える反響があった。第三者との提携や契約がない状況下で、同アルバムは大きな話題となり、多くの人が「程璧」という名前を知るようになった。そして、程璧は今年7月、2枚目のアルバム「あなたと上の空」をリリースし、多くの若者の間で大ヒットに。契約オファーが程璧のもとに殺到したものの、程璧はそれを全て断った。程璧は、独立したミュージシャンとして、自由に音楽を楽しみたいという。
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