

「水滸伝」における「四大叛徒」と言えば、多くの人は山東の宋江、淮西の王慶、河北の田虎、江南の方ロウ(ロウはにくづきに昔)をあげることだろう。しかし日本の無窮会専門図書館に所蔵されている「水滸伝」では「三大叛徒」と一人足りないことをご存じだろうか?
10日、西南師範大学出版社を取材したところ、同社が2013年に人民出版社と共に出版した「水滸伝(日本無窮会蔵本)」は、国内に現存する容与堂本と天都外臣序本等の版本とは大きく異なっており、中国国内にこの版本は現在すでに存在していないという。
西南師範大学出版社は1999年より「国外漢籍珍本文庫」プロジェクトに着手し、流布本や失われてしまったり、海外に保管されている漢籍の珍本をすでに前後して800種類ほど出版している。その一つである「水滸伝(日本無窮会蔵本)」は2013年12月に出版され、10冊のシリーズとなっている。
中国の四大古典文学の名著の一つである「水滸伝」は中国国内の版本も非常に多く、その回数によって、100回本、120回本、70回本、104回本などと分類されている。そのうち100回本が最も「水滸伝」本来の姿に近いと言われている。日本無窮会図書館が所蔵する「水滸伝」は李卓吾評百回本を底本にしており、明代に刊行され、清代に印刷されたこの版本は中国国内ではすでに失われてしまっており、その意味で非常に貴重である。
同じ百回本でも日本無窮会所蔵の「水滸伝」は中国国内に現存する容与堂本と天都外臣序本等の百回本とは内容が大きく異なっている。この版本は文字、内容、頭書き、用紙など様々な面で独特な特徴をもち、「水滸伝」が流布していく過程で新たな版本と異なる風格が生まれていることがわかる。例えば、柴進が宮廷の睿思殿に潜入して、白い衝立に書かれた文字を見るシーンでは、ほとんどの版本で「四大叛徒」の名前として山東の宋江、淮西の王慶、河北の田虎、江南の方ロウが挙げられているが、日本無窮会所蔵版はそれが山東の宋江、薊北遼国、江南の方ロウという「三大叛徒」になっている。
西南師範大学出版社の担当者は「日本無窮会が所蔵する版本の価値は非常に高く、『水滸伝』の流布している版本における多くの疑問を解決する上でのヒントを提供し、学者たちがもつ数多くの謎を解き明かしてくれている。また『水滸伝(日本無窮会蔵本)』の出版にあたっては中国社会科学院歴史研究所の専門家たちの努力を切り離しては考えられない。この本の出版は『水滸伝』の原本に新たな情報が加わったという点で、重要な学術価値を持つだろう」とした。
なお、特筆すべきは日本無窮会所蔵の「水滸伝」は全文に絵が添えられており、その一枚一枚が今にも動き出しそうなほど生き生きとしていることだ。さらに頭書きには李卓吾のすばらしい批評も収録されており、読者はさらに楽しみが増えることだろう。
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