「黄色いアヒルのヘアアクセサリーはまだありますか？」。これは、浙江省義烏市にある世界最大の日用雑貨卸売市場・義烏国際商貿城でアクセサリーショップを経営する毛旭霞さんのもとにここ数日、もっともたくさん入った問い合わせだ。東京から約2000キロ離れている毛さんの店にも今、「オリンピック」の波が押し寄せ、黄色いアヒルのヘアアクセサリーが爆発的人気となっている。
このアヒルのヘアクセサリーというのは、浙江省出身で「00後（2000年以降生まれ）」の楊倩選手が、東京五輪1日目に行われた射撃女子10メートルエアライフルで金メダルを獲得した時につけていたもの。そして楊選手は27日にも、楊皓然選手とペアを組み、射撃混合10メートルエアライフルに出場。見事金メダルを手にし、中国のネットユーザーたちを喜ばせた。楊選手の姿を見た人々からは、「またあの黄色いアヒルのヘアアクセサリーをつけていた」という声が上がった。
表彰台に上がった際、楊選手は後ろ髪を小さなニンジンの付いたヘアゴムで束ね、頭のてっぺんには黄色いアヒルのヘアアクセサリーを付けていた。さらに、爪のネイルチップも注目を集め、SNSでトレンド入りした。
この日の夜、市場のバロメーターである義烏市場では、アヒルのヘアアクセサリーとニンジンの付いたヘアゴムの注文が殺到。アクセサリー専門ショップを経営する毛さんもこの突然の人気沸騰は予想外だったようで、「このヘアアクセサリーはとてもかわいいが、もう数年前から売っているもので、新商品ではない」と説明する。
「楊選手が金メダルを獲得する前は、1日に数十個から100個売れる程度だった。でも、ここ数日は、毎日1万個以上売れている。今日午後3時ごろ、うちの在庫は300個以下になった。焦っているクライアントもいるが、次の入荷を待つしかない」と毛さん。
黄色いアヒルのヘアアクセサリーはどれほどの人気ぶりとなっているのだろうか？ショッピングサイト・淘宝の統計によると、24日、「楊倩と同じ商品」、「黄色いアヒルのヘアアクセサリー」の検索回数が23日と比べて4237.37％増と激増。「ニンジンの付いたヘアゴム」の検索回数も2115.67％増となった。
淘宝でショップを経営する陳耿平さんは、「以前は、1ヶ月に800個売れる程度だったが、ここ3日で7万個売れた。今回の人気ぶりは社会現象にまでなっている。これまでにも爆発的人気になる商品があったが、今回のように1日のうちにこれほどの人気になるのは見たことがない。淘宝を通して、楊選手が金メダルを取ったことの恩恵にあずかっている感じ」と喜ぶ。
そして、「購入しているのは学生や若者がメイン。カスタマーサービスとのチャットのスクリーンショットを見ると、『私も金メダリストになりたい』、『早く送ってくださいね、金メダリストとの距離を縮めて運気を上げたい』、『幸運を引き寄せたい』などのメッセージがあふれている」とした。
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